小学校の通常級(通級指導を利用)から公立中学への就学についての事例をSさんにお話しいただきました。練馬区や西東京市からのご参加もいただき当会の会員さんの裾野が広域になってきていることがわかるとともに、凸凹キッズの公立中学就学は小学生の保護者さんにとって関心の高いテーマのようです。以下、イベントのご報告となります。
中学就学にあたりお子さんご本人の希望は、
「通級を利用せずに、やってみたい」
だったそうです。過去の体験から通級を利用していることをからかいの種にされたくないという思いがあったようです。
小学校の担任、主治医、通級の先生を交えての話し合いを経て、中学は特別支援の制度を利用することなく通学されています。特別支援の制度からはなれての中学就学、見守る家族をはじめ周囲の心配は小さくなかったことかと思いますが、現在特に困ったことはなく、楽しく通われているというご様子を話していただきました。話し合いでは、中学就学にスムーズに移行できた背景について、保護者さんや皆さんで話しながら整理していきました。
■入学前に中学側との間で”子どもの特性”や”どういうことを特に気にするか””どんなことで過去にトラブルになりやすかったか”といった情報共有ができていた【入学前からの情報共有】
■担任の先生が細やかに目を配ってくださっている【保護者と担任での見守り体制】
■複数小学校からの進学により、人間関係をリセットして取り組める部分があった【新しい人間関係】
■学習面では、提出物を出す姿勢や勉強する意欲のところを評価してもらっている【学習の結果だけではなく、普段の学習への姿勢や意欲を評価してもらえている】
【入学前からの情報共有】【保護者と担任での見守り体制】【新しい人間関係】【学習の結果ではなく、普段の学習への姿勢や意欲をちゃんと見てもらえている】これらのことが主に中学就学がスムーズに移行した背景にあったようです。
参加された皆さんの振り返りでは
★中学就学に大きな不安があったけれど、希望が持てる話だった
★事前に先回りしていろいろやるしかないと思っていたけれど、もう少し肩の荷を下ろして子どもの希望を聞いてあげようと思った
★部活の上下関係が自分の子は苦手そうだと不安に思っていたので、そんなに上下関係が厳しくないという話が聞けてほっとした
★中学からは教科制になるので担任の先生と家庭で関係が築けるとは思っていなくて意外だった
などの声があがりました。
凸凹キッズの環境の「変化」は保護者にとって大きな不安材料です。今回の事例のように”支援を外す”という変化を希望したお子さんの想いをSさんが受け止めて、お子さんの力を信じたことが、今の平穏の一番の原動力なのかもしれないと思いました。また、新しい友達関係がうまくいっていることや学習への意欲が高いことは、けっして一朝一夕で身に付くことではありません。小学校時代からのお子さんの継続した頑張りの積み重ねの努力がベースにあってのことだろうと推測すると、よそのお子さんのことながら、今の日々の様子を他人事を超えて心から嬉しく聞かせていただきました。
みんなから共通の思いが挙がりました、
「親子で適度な距離をもって子どもを見守ることが大事。でもそれって、難しい!」
Sさんの事例を聞いたことで、そのことに気づけたこと、それだけでも十分すぎる意味があると思いました。
完璧な親などいないですよね ~Nobody is perfect~
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イベント後のアンケートから参加者の方々の感想を抜粋します
◇未知の世界だった公立中学の環境を詳しく知ることができ、希望が持てました
◇発達特性のある我が子に公立中学はハードルが高いのではと心配でしたが、公立でも受け入れる学校の体制など条件が整えば、うまくいく可能性もあるということ、大変参考になりました。いずれにしても学校との充分なコミュニケーションが必要ですね
◇『自分の望んだ場所だと子供も頑張れる』と教えていただきました
登壇されたSさん、参加者の皆さん、ありがとうございました。
グランブーケ 渡辺 香織